二次関数のグラフと平方完成、グラフの平行移動が置き換えでできる理由
二次関数は式が与えられたときに正確にグラフの位置、形を読み取る必要があります。
しかし、y=ax2+bx+cの形のままですぐ分かることは、上に凸なグラフか、下に凸なグラフかということくらいです。
頂点の座標がすぐに分かるわけではありません。
そのためy=ax2+bx+cを変形して、式を一目見ただけで頂点の座標がすぐに分かる形にします。
その時に使う方法が平方完成と呼ばれるものです。
1、平方完成
もっと具体的に言うと、
y=ax2+bx+cを
y=a(xーp)2+qの形に
変形することを平方完成するといいます。
平方完成することによって頂点の座標を知ることができます。
何やら難しそうですが、実質(x+a)2の展開をすることと変わりません。
試しにいくつか平方完成してみて感覚を掴んでみましょう。
(x+1)2は展開すると
x2+2x+1です。
このうち最初の二項は与えられた式にも入っていますね。
しかし1は元の式にはなかったので引き算します。
これで(x+1)2 −1の部分だけ見ると与えられた式の最初二項x2+2x と同じになりました。
後は定数項4も足して
(x+1)2 +3 とすると
完全に与えられた式の右辺に一致します。
これで平方完成完了です。
(例2)(例3)は(例1)とほとんどやり方は同じですが、一工夫必要です。
与えられた式のままだと、さっきのようにするのは少し大変です。
違いはなんでしょう。
それは二次の項の係数が1ではないということです。
なので二次の項の係数で括ります。
(例1)を見て分かるように、定数項は後から足せばいいので実質平方完成のメインはx2の項とxの項です。
なのでここだけ括ります。
そこまでできたら後は同じです。
次に(x+1)2 とか(x+5)2 とかに変形するのですが、これは1とか5のところに一次の係数の半分を書くだけで大丈夫です。
なぜかというと、
のように、展開すると一次の項は2倍されるからです。
2倍してもとに戻ってほしいなら、最初に半分にしておけばいいということです。
言い替えると平方完成は
の定数項a2を左辺に移項した
を行っているだけです。
2、二次関数のグラフ
それではこの平方完成を用いて二次関数のグラフを書いてみましょう。
まずは中学校の時に学習済みの
y=ax2 のグラフを思い出してみましょう。
これは原点を頂点とする放物線でした。
a>0 なら下に凸、a<0なら上に凸ですね。
平方完成と二次関数のグラフ
さて次にy=ax2の式で
yをyーqに、xをxーpに
置き換えてみます。
すると
yーq=a(xーp)2
∴y=a(xーp)2+q
と先ほどの平方完成で目指していた形になりました。
この置き換えが図形的に何を意味しているかは、一通り話が済んでから説明します。
今この段階ではy=ax2のグラフをx軸の正の方向にp、y軸の正の方向にqだけ平行移動させたという事実だけを
知っておいてください。
つまり、この平行移動によって
頂点は点(p、q)という点に移ります。
要はy=a(xーp)2+q の形にすると、点(p、q)という点が頂点で、軸がx=p だということがわかります。
これが平方完成の目的です。
では先程の例題のグラフを書いてみます。
もう平方完成は終わっているので、そこから軸、頂点の座標を読み取るだけです。
手書きで書くときは頂点の座標、y軸、x軸とグラフの交点だけは取って、それ以外の点は書かなくても大丈夫です。
二次関数のグラフの平行移動
最後に先ほど出てきた置き換えが、平行移動になる理由を説明します。
y=f(x)という関数をx軸方向にp、y軸方向にq平行移動してy=g(x)という関数にすることを考えてみます。
直線だろうが曲線だろうが座標平面上の図形は全て点の集合です。
よって平行移動は1つの点で平行移動を考えればよいです。
y=f(x) を平行移動すると、
もともとy=f(x)上にいた
点(x,y) は(x+p,y+q) に
移っているはずです。
そして、この点はy=g(x)上の点でもあるはずです。
ということは(x+p,y+q)をy=g(x)に代入すれば、その式は等号が成り立つということになります。
しかし、今回はそのy=g(x)が知りたいので、代入しようがありません。
よって、逆の操作を考えます。
つまり、 y=g(x)上の点 (x,y)をx軸方向にーp、y軸方向にーqだけ平行移動してみます。
すると、平行移動した点 (xーp,yーq)というのはy=f(x)上の点になるはずです。
y=f(x)はすでに式がわかるグラフですから、ここに(xーp,yーq)を代入することはできます。
実際に代入したyーq=f(xーp)というのが
y=g(x)が満たさなければいけない式だということが分かりました。
以上をまとめると、グラフをx軸方向にp、y軸方向にq平行移動させるということはxをxーp、yをyーqに置き換えてあげればよいということになります。
二次関数の最大値最小値の求め方(定義域がない場合と定義域がある場合)に続く
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