共通テスト物理2021年度/第1問(小問集合)解説その1




2021年度共通テスト 物理 第1問

問1 慣性力

図1のように、台車の上面に水と少量の空気を入れて密閉した透明な水そうが固定されており、その上におもりが糸でつり下げられている。台車を一定の力で右向きに押し続けたところ、おもりと水そう内の水面の傾きは一定となった。このとき、おもりと水面の傾きを表す図として最も適当なものを、下の①〜④のうちから一つ選べ。ただし、空気の抵抗は無視できるものとする。(1)

 

おもりには加速されている右向きと逆の左向きに慣性力が働く。この慣性力と重力の左下向きの合力(図中青矢印)が見かけ上の重力としてが働く。見かけ上の重力と糸の張力が釣り合うのでおもりは左下向きに振れる。

水そう内の水にも同じ見かけ上の重力が働くので、(1)の答は④

問2 動滑車を含む力のつり合い

 なめらかに回転する定滑車と動滑車を組合せた装置を用いて、質量50kgの荷物を、質量10kgの板にのせて床から持ち上げたい。質量60kgの人が図2のように板に乗って鉛直下向きにロープを引いた。ロープを引く力を徐々に強めていったところ、引く力が(2)Nより大きくなると、初めて荷物、板および自分自身を一緒に持ち上げることができた。ただし、動滑車をつるしているロープは常に鉛直であり、板は水平を保っていた。滑車およびロープの質量は無視できるものとする。また、重力加速度の大きさを9.8m/sとする。

 

人がロープを引く力をF、ロープの張力をTとすると、FとTは作用反作用の法則によりつりあっている。

人はロープからT、動滑車は2Tで引っ張られている。

動滑車、荷物、板、ロープを一体とみなすと、それが3Tで引っ張られることになる。

これらが持ち上がるとき
3T=120✕9.8となるので
T=392≒3.9✕10(N)

したがって(2)の答は⑤

問3 極板間の電位差と電場(電界)、静電気力

図3のように互いに平行な極板が、L、2L、3Lの3通りの間隔で置かれており、左端の極板の電位は0で、極板の電位は順に一定値V(>0)ずつ高くなっている。隣り合う極板間の中央の点A〜Fのいずれかに点電荷を1つ置くとき、点電荷にはたらく静電気力の大きさが最も大きくなる点または点の組合せとして最も適当なものを、下の①〜⑨のうちから一つ選べ。ただし、点電荷が作る電場(電界)は考えなくてもよい。(3)

静電気力をF、点電荷を、電場(電界)をEとすると、点電荷にはたらく静電気力はF=qEで表される。

問題では点電荷は一定なので、電場Eが大きいほうが静電気力は大きくなる。

電場Eは極板間の間隔をdとすると、

となる。極板間の電位差はすべてVなので、間隔が狭い方が電場Eは大きくなる=静電気力も大きくなる。

したがって極板間の間隔がもっとも狭いBに置かれた点電荷に働く静電気力がもっとも大きくなり、(3)の答は②となる。

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