共通テスト物理2022年度/第2問(物体の運動)解説その1




共通テスト物理2022年度/第1問(小問集)解説その2からの続き

第2問 (物体の運動) 解説

 Aさんは、買い物でショッピングカートを押したり引いたりしたときの経験から、「物体の速さは物体にはたらく力と物体の質量のみによって決まり、(a)ある時刻の物体の速さvは、その時刻に物体が受けている力の大きさFに比例し、物体の質量mに反比例する」という仮設を立てた。Aさんの仮設を聞いたBさんは、この仮設は誤った思い込みだと思ったが、科学的に反論するためには実験を行って確かめることが必要であると考えた。

問1 下線部(a)の内容をv,F、mの関係として表したグラフとして最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ

 

まず①②のv−Fグラフを見ると、vとFは比例関係にあるので、②は適さない。
またvとmは反比例しているので、mが大きい方がは小さくなるので①も適さない。

次に③④のv−mグラフを見ると、vとmは比例関係にあるので、③は適さない。
④はvとmは反比例していて、かつvとFは比例しているためFが大きい方がは大きくなるので、④は適する。

 

Bさんは、水平な実験机上をなめらかに動く力学台車と、ばねばかり、おもり、記録タイマー、記録テープからなる図1のような装置を準備した。そして、物体に一定の力を加えた際の、力の大きさや質量と物体の速さの関係を調べるために、次の2通りの実験を考えた。

【実験1】いろいろな大きさのちからで力学台車を引く測定を繰り返し行い、力の大きさと速さの関係を調べる実験。
【実験2】いろいろな質量のおもりを用いる測定を繰り返し行い、物体の質量と速さの関係を調べる実験

問2 【実験1】を行うときに必要な条件について説明した次の文章中の空欄(8)(9)に入れる語句として最も適切なものを、それぞれの直後の{ }で囲んだ選択肢のうちから一つずつ選べ。

ばねばかりの目盛りは、ばねばかりが力学台車を引く力を表している。台車を一定の力で引くためには目盛りを常に一定にすれば良いので(8)の答は①

また【実験1】では台車を引く力と速さの関係のみを調べるので、質量は同じにしなければならない。
加速度a=F/mより、質量を実験ごとに変えると、加速度→速度と力の関係を調べることはできない。
(質量と速さの関係を調べるのは【実験2】)よって(9)の答は②

【実験2】として、力学台車とおもりの質量の合計が
ア:3.18kg イ:1.54kg ウ:1.01kg

の3通りの場合を考え、各測定とも台車を同じ大きさの一定の力で引くことにした。
この実験で得られた記録テープから、台車の速さと時刻の関係を表す図2のグラフを描いた。ただし、台車を引く力が一定となった時刻をグラフの=0としている。

問3 図2の実験結果からAさんの仮説が誤りであると判断する根拠として、最も適切なものを、次の①〜④のうちから一つずつ選べ。(10)

①質量が大きいほど速さが大きくなっている。
②質量が2倍になると、速さは1/4倍になっている。
③質量による運動への影響は見いだせない。
④ある質量の物体に一定の力を加えても、速さは一定にならない。

この実験はAさんの仮説「速さは力の大きさFに比例し、物体の質量に反比例する」を検証する実験である。

それぞれの質量において一定の力を加えても、時刻によって速さは変わっているので、正解は④(①、②は誤り)。
また質量によってグラフの傾きが異なっているので③も誤り。

共通テスト物理2022年度/第2問(運動量・運動エネルギー)解説その2に続く

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