共通テスト物理2022年度/第2問(運動量・運動エネルギー)解説その2




共通テスト物理2022年度/第2問(物体の運動)解説その1 からの続き

Aさんの仮説には、実験で確かめた誤り以外にも、見落としている点がある。物体の速さを考えるときには、その時刻に物体が受けている力だけでなく、それまでに物体がどのように力を受けてきたかについても考えなければならない。
速さの代わりに質量と速度で決まる運動量を用いると、物体が受けてきた力によって力積を使って、物体の運動状態の変化を議論することができる。

問4 次の文章中の空欄(11)に入れるグラフとして最も適切なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

図2を運動量と時刻のグラフに描きなおしたときの概形は、
物体の運動量の変化=その間に物体が受けた力積
という関係を使うことで、計算しなくても(11)のようになると予想できる。

 

問題中にあるように物体が受けた力積F⊿tは物体の運動量の変化⊿に等しいのでp=F⊿tとなり、この【実験2】においては力は一定なので、運動量と時間は比例関係で比例定数Fは(ア)(イ)(ウ)すべて同じになる。

つまりグラフの傾きが同じになるので、正解は④

小球を発射できる装置が質量M1の台車と、質量の小球を用意した。この装置は、台車の水平な上面に対して垂直上向きに、この小球を速さで発射できる。図3のように、水平右向きに速度Vで等速直線運動する台車から小球を打ち上げた。このとき、昇給の打ち上げ前後で、台車と小球の運動量の水平成分の和は保存する。小球を打ち上げる直前の速度Vと小球を打ち上げた直後の台車の速度V1との関係式として正しいものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。(12)

小球を打ち上げ前後で鉛直方向に力は働くが、水平方向には力は働かないので、小球・台車ともに水平方向の速度は変わらない。したがって
M1VM1VVよりVV
となり、正解は①

問6 次に、図の4のように、水平右向きに速度Vで等速直線運動する質量Mの台車に質量のおもりを落としたところ、台車とおもりが一体となって速度Vと同じ向きに、速度V2で等速直線運動した。ただし、おもりは鉛直下向きに落下して速さで台車に衝突したとする。VV2が満たす関係式を説明する文として最も適当なものを、後の①〜⑤のうちから一つ選べ。(13)

 

台車とおもりが一体となったということは、台車とおもりの間には摩擦力が働いている。
水平方向に力が働いているので衝突前後で速度は変化するため①は適さない。

また運動量が保存されるのは外力を受けない時だが、床から垂直抗力を受けるているので、②も適さない。
さらに②の式左辺はM2Vの和を表しているが、運動量はベクトルなので水平成分と鉛直成分の運動量は足し算できない。

②で説明した垂直抗力は鉛直方向の外力なので、水平方向の運動量には影響しないので③は適している。

一方④⑤の運動エネルギーについては、衝突時運動エネルギーが保存されるのは弾性衝突(反発係数e=1)の時だけなので、④⑤は適さない。

また①で説明したように水平方向に摩擦力が働いているためエネルギーを失ってしまう、運動量はベクトルではなくスカラー量で成分分解して考えることができないなどの理由からも⑤は適さないことがわかる。

以上より問5の答は③

 

高校数学・物理化学専門の
オンライン家庭教師・個別指導学習塾、
栃木県宇都宮市近辺の家庭教師を
お探しならこちらをクリック
↓ ↓ ↓