共通テスト物理2022年度/第3問(電磁誘導)解説その1




共通テスト物理2022年度/第2問(運動量・運動エネルギー)解説その2からの続き

第3問

図1のように、二つのコイルをオシロスコープにつなぎ、平面版をコイルの中を通るように水平に設定した。台車に初速を与えてこの板の上で走らせる。台車に固定した細長い棒の先に、台車の進行方向にN極が向くように軽い棒磁石が取り付けられている。二つのコイルの中心間の距離は0.20mである。ただし、コイル間の相互インダクタンスの影響は無視でき、また、台車は平面版の上をなめらかに動く。

台車が運動することにより、コイルには誘導起電力が発生する。オシロスコープにより電圧を測定すると、台車が動き始めてからの電圧は、図2のようになった。

問1 このコイルとオシロスコープの組み合わせを、スピードメーターとして使うことができる。この台車の運動を等速直線運動と仮定したとき、図2から読み取れる台車の速さを、有効数字1桁で求めるとどうなるか。次の式中の空欄(14)(15)に入れる数字として最も適当なものを、後の①〜⑩のうちから一つずつ選べ。ただし同じものを繰り返し選んでもよい。

(14)✕10ー(15)m/s

①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5
⑥6 ⑦7 ⑧8 ⑨9 ⑩0

一つ目のコイルをくぐった時と二つのコイルをくぐった時に電磁誘導が起こっている。図2のグラフよりその間の時間は0.4sで、その間に0.20m進んでいるので、台車の速さは

問2 この実験に関して述べた次の文中の空欄(16)〜(18)に入れる語句として最も適当なものを、それぞれの直後の{ }で囲んだ選択肢のうちから一つずつ選べ。

 

もう一度図1を見てみる。

赤矢印は棒磁石を、青矢印はコイル内にできる磁界を表している)

棒磁石がコイルに近づく時は、コイル内には磁界の変化をを妨げるように左向きに磁界ができる。

上の図左側のようにN極同士が向き合っている状態になるので、磁石が反発するので台車の速さは小さくなる。

一方、棒磁石が遠ざかる時はコイル内の磁界の減少を補うように、コイル内には右向きの磁界ができる。この磁界が棒磁石と引き付けあうので、やはり棒磁石の速さは小さくなる。

したがって(16)の答は②

次に(17)を見ると、コイルを流れる電流が大きかったら作られる磁界(上図の青矢印)も大きくなり、台車が受ける力も大きくなるため、台車は等速直線運動とならない。
したがって②④は適さない。

電流が小さくなるのは内部抵抗が大きいためなので、(17)の答は③

次の空気抵抗については、空気抵抗をFとすると、運動方程式

質量が大きければ、加速度に対する空気抵抗の影響が小さいことがわかる。

したがって(18)の答は①

問3 Aさんが、条件を少し変えて実験してみたところ、結果は図3のように変わった。

Aさんが加えた変更として最も適切なものを、次の①〜⑤のうちからひとつ選べ。ただし、選択肢に記述されている以外の変更は行わなかったものとする。
また磁石を追加した場合は、もとの磁石と同じものを使用したものとする。
(19)

 

図3において変更前後を比べると、1回目と2回目の電磁誘導が起こった時間間隔は変わりないので、速さも変わらない。

したがって①②は適さない。

誘導起電力Vを大きくするためには、他に通過する磁石の磁力を大きくすれば良い。

③では間のN極とS極の間で磁力は打ち消し合うので、変更前と磁力は変わらないため、誘導起電力も変わらない。

④のように逆向きに並列で並べると、磁石周りで逆向きの磁力が並ぶため、打ち消し合って変更前よりも磁力は小さくなってしまう。
したがって④も適さない。

⑤のように同じ向きで並列に並べれば、磁力は大きくなるので、誘導起電力も大きくなり、この答は問題に適する。

したがって問3の答は④

共通テスト物理2022年度/第3問(電磁誘導)解説その2に続く

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